同居家族狂想曲 -6ページ目

旅行(1)

旦那の両親たちは私がこの家に一緒に住むようになってから
2年の間、二回旅行に行っている。

1回目は私が妊娠8ヶ月のときだった。

旦那と旦那の両親と、旦那のお姉さんの4人だけで名古屋に行った。

普通はじめての子供で、不安になっている妊娠8ヶ月の奥さん置いて旅行とかしないんじゃ??

早産や何かあったときどうする気なんだろう?
「その間実家に帰っていては?」
とかそういう気遣いもまったくナッシング。
てか、週数的にキツイ。

旦那が、「東京でお義父さんとお義母さんに一番に孫の顔を見せたい」っていうから、心細いのに東京で出産を決めたというのに。

あーそーですか。
私はただの生産係ですか。
家畜かなんかと一緒っしょ。


てか、普通そんな時期に旅行しないべ?

いくら、お義父さんが病気であまり目が見えなくて、
お義母さんがアレだから、二人だけの旅行が不安だからって、
妊娠中の奥さんがいる旦那がついていかなくてもいいんじゃない?


旦那のお姉さん二人いるんだしさ。

ってものすごく思ったけど、黙っていた。

何より、その話を知ったのも、話しているのが隣の部屋から聞こえたからで、本人たちから直接聞いたわけではなかった。
もちろん相談もなく、行くことを実際に彼らの口から聞いたのは行く1ヶ月前だった。

もちろん決定事項なので、相談もなにもなし

決まってから「行ってきてもいいですかね」はないでしょう?お義父さん。

駄目ですって言ったらどうする気だったのかしら?

その話を壁越しに聞いて、私はおいてけぼりをくらった子供のようにショックを受けた。

昔、小学生だったころ、休みの日に私だけおいてけぼりにして、
両親と兄弟が外出したのを思い出した。


机があったらその下にひざを抱えてもぐりこみそうになった。
が、生憎私がもぐりこめそうなサイズの机など、この家にはなかった。


私は机の下が狭くて安心できるから好きなのだ。
そこは私だけの世界なのでひとりも何も関係ない。


ひとりはとっくに慣れている。
独りは独りで楽しいものだ。


独り暮らしに戻った気分で二日を過ごした。
誰にも気遣うことなく気楽で楽しかった。
少し違うのは私のお腹に生まれる前から愛している息子がいることだ。

「うん。大丈夫。」

二日目、彼らが帰ってくる予定の朝、
事故にでもあって帰ってこなければいいのに。と少し思った。

あ、今、私もしかして少し鬱かも。
と思った2005年3月15日。